# PR-004 基準相場と円買い介入の執行非対称性 — 検証計画の事前登録 為替介入研究所 | **v1.0: 2026-08-23 凍結** | 状態: PREREGISTERED | 所長承認済み 関連: WP-004(非識別性)、SPEC-KIJUN v0.3、PR-002(資金制約 — 強形式の反証済み事実を前提として引用) > **本登録は凍結済みである。** 判定規則・閾値・判定窓は、財務省の月次介入額公表(2026-08-28 19:00・令和8年7月30日〜8月26日分)**より前**に確定した。 > SHA-256とOpenTimestampsにより「規則が結果に先行して存在した」ことを第三者が検証できる。凍結後の規則変更は行わない(会則第19条)。 --- ## 一 主命題(検証対象仮説) **H1〔弱形式・非対称仮説〕**: 円買い介入の1日あたり執行額は、執行日の実勢相場が当該月の基準外国為替相場を**上回る**とき(=外為特会の会計上、売買差益方向となるとき)に、下回るときよりも系統的に大きい。 前提の明示: 「基準相場を下回る水準では執行しない/できない」という**強形式(財務制約)は既に反証済み**である(2026年5月4日・6日のE5執行は当日値幅全体が2026年5月適用基準相場159円を下回る状態で行われた — PR-002検証過程の確定事実)。本登録が問うのは執行の有無ではなく**強度の非対称**のみである。 理論機構〔FACT〕: 特別会計に関する法律第79条および同施行令第46条第2項・第3項により、外国為替等の売買損益は「取引価格と基準外国為替相場等による換算価額との差額」として取引の都度認識される。したがって実勢>基準での円買い(ドル売り)は差益、実勢<基準では差損を生む。基準相場は前々月実勢平均に基づき月次改訂される(平成21年財務省告示第248号)ため、急激な円安局面では実勢>基準となりやすいラグ構造を持つ。 ## 二 下位仮説と反証条件 **H1の判定規則(本版で凍結)** - 標本: 財務省日次公表に基づく円買い介入の全執行日(E1: 2022-09、E2: 2022-10、E3: 2024-04/05、E4: 2024-07、E5: 2026-04/05、E6: 2026-07/08)。 - 分類: 三で定義するC(d)∈{上, 下}。 - 検定: 「上」群と「下」群の1日あたり執行額(円)について、片側(上>下)の**正確並べ替え検定**。有意水準 α=0.10(標本極小のため)。 - **反証条件: p ≥ 0.10 で H1 を棄却する。** 効果量(両群の中央値比)を検定結果と併記する。 - 探索的/確認的の区分: - 〔探索的〕E1〜E6の既公表執行日を用いたプール検定。データは公知だが、**本登録の凍結(GitHub push+OTS)後に初めて分類・集計・検定を実施し公表する**。凍結の意味は「規則が結果に先行して存在した」ことの証明である(PR-002 §十と同旨)。 - 〔確認的〕(i) E6日次内訳(2026年11月初旬公表)による分類の確定と再検定。**事前予測: E6の全執行日は「下」に分類される**(適用基準相場は2026-07=158円・2026-08=161円に対し、報道執行レンジは155〜158円)。(ii) 将来の円買いエピソードは公表され次第、同一規則で追加する。 - 頑健性分析(凍結): 跨ぎ日(三参照)を除外した再検定を必ず併記する。 **H2〔会計顕在化仮説〕— 本版では凍結しない(段階凍結の宣言)** - 内容(予告): E5/E6の「下」執行に対応する売買差損が令和8年度(FY2026)外為特会財務書類に顕在化する(差損超過による歳出補填、または注記言及)。 - 凍結しない理由: 八(b)の令和4年度整合問題が未解明であり、科目対応を確定せずに反証条件を凍結すると事後変更(会則第19条違反)を強いられる。**v2で科目・閾値を確定して凍結する。** v2凍結期限: 2026年11月末(E6日次内訳の公表後、FY2026年度末より十分前)。 ## 三 概念と定義の固定 1. **基準相場 B(M)**: 財務大臣公示値のみを用いる(日本銀行公示ページ kiju[YYMM].htm および財務書類注記)。SPEC-KIJUN の復元値は**使用しない**(公示値のみを用いるため、2026-08-23のSPEC-KIJUN v0.3による参照系列差し替えの影響を受けない)。台帳: `data/kijun_usdjpy_official.csv`(SHA-256: `34dc7c6a2c27dc08093f30b4200867419b48c58b30cd3083c7cfd6f117fc0bf8`、公示原本6ページのSHA-256は `data/raw_pages_sha256.txt` に固定)。エピソード関連の適用値〔全てFACT・公示〕: 2022-09=137、2022-10=135、2024-04=149、2024-05=150、2024-07=156、2026-04=155、2026-05=159、2026-07=158、2026-08=161。 2. **実勢**: OANDA USD/JPY 日足(当所正本CSV・SHA-256管理)の low(d), high(d), close(d)。 3. **執行日・執行額**: 財務省「外国為替平衡操作の実施状況」の日次公表(円建て)。執行レートは非公表であり、本登録は執行レートを推定しない(WP-004)。 4. **分類 C(d)**〔要承認①〕: - low(d) > B(M(d)) → 「上」(値幅全体が基準相場超) - high(d) < B(M(d)) → 「下」(値幅全体が基準相場未満) - それ以外(跨ぎ)→ **主分析**: close(d) と B の大小で「上」「下」に割当。**頑健性**: 除外。 5. **月の帰属 M(d)**〔要承認②〕: 執行日dの属する暦月の適用値。決済日(T+2)ではなく取引日基準。 6. 用語: 「残弾」は使用しない(介入原資と表記。PR-002 §四)。 ## 四 指標 - ΔB(d) = close(d) − B(M(d)) (符号・幅。記述統計として全執行日で報告) - 執行強度 I(d) = 当該日の介入額(兆円) ## 五 対抗仮説の記述的ネスト(凍結) 標本極小(円買いエピソード n=6)のため回帰は行わず、次の2点を**記述的に**併記して代替説明の余地を明示する: 1. 伊藤・藪型反応関数変数: 各執行日の前日変化幅・長期トレンドからの乖離を共変量として一覧表に記録(両群で分布が重なるかの目視比較のみ)。 2. Wang & Yoshida (2025) の決算前介入仮説: 各執行月が会計年度末月(3月)または年度末直前四半期か否かを記録。日本の円買い執行はいずれも該当しない見込みであり、該当があれば明示する。 ## 六 データと測定 | 系列 | 出所 | 状態 | |---|---|---| | 基準相場 公示値 | 日銀公示ページ・財務書類注記 | FACT(台帳固定済み) | | USD/JPY 日足 | OANDA 正本CSV | FACT(SHA管理) | | 介入執行日・日次額 | 財務省 日次公表(四半期毎) | FACT | | E6 総額 | 2026-08-28 19:00 公表予定 | 未公表 | | E6 日次内訳 | 2026年11月初旬 公表見込み | 未公表 | | 1997-98・2003-04(円売り対照) | 官報告示【要取得】 | 対象外(v2拡張候補) | ## 七 検証スケジュール(事前登録) 1. **凍結期限: 2026-08-28 19:00(E6月次総額公表)より前**に GitHub push+OTS刻印。総額すら未知の状態で規則を固定する。 2. 凍結後: 探索的プール検定(E1〜E5+E6既公表分)を実施・公表。 3. 2026-11 初旬: E6日次内訳 → 確認的判定1(分類予測「全て下」の照合+再検定)。 4. 2026-11 末まで: H2をv2で凍結(八(b)解明が前提)。 5. 2028-01 頃: FY2026財務書類 → H2判定(v2の規則による)。 ## 八 識別できないもの・未解決論点(事前申告) (a) **執行レートは非公表**。分類は日足範囲による近似であり、日中の実際の執行価格分布は識別できない(WP-004)。跨ぎ日の割当誤りリスクは頑健性分析で局所化する。 (b) **令和4年度の整合問題〔要検証・H2凍結の前提〕**: FY2022は9兆1,880億円の円買いを実勢145〜151円で執行し、適用基準相場は137円(9月)・135円(10月)だった。施行令第46条を素直に読めば1ドルあたり8〜16円、総額で兆円規模の売買差益が生じるはずだが、令和4年度財務書類の外国為替等売買差益の計上は千億円規模にとどまる。差益・差損の年度内相殺(施行令第46条第1項)、他の運用売買・為替スワップとの合算、換算価額の改訂タイミングのいずれが効いているのか、**科目対応の再現計算がv2の必須先行作業**である。この解明なしにH2の閾値は定義できない。 (c) E6(2026-08-03)の日米協調介入は主体別内訳が非公表。日本側執行分のみが財務省公表に現れる。 (d) 設計に用いた既知情報の開示(第58条): E5の5/4・6が「下」執行であった事実(強形式反証)、E6の報道執行レンジ155〜158円、各エピソードの公表済み総額。これら以外の分類・集計・検定は凍結前に実施していない。 ## 九 統計方針 正確並べ替え検定(片側)、α=0.10、主検定はH1の1本のみ(多重性なし)。凍結後の規則変更は行わない(第19条)。追加データは同一規則での逐次更新のみ許す。 ## 十 本登録の位置づけ 本登録は WP-005(仮題「基準相場の会計構造と円買い介入の執行非対称性」)の検証計画である。旧・案3(B/S毀損の定量)は独立論文とせず本登録のH2に吸収した。旧・案2(公表会計からの逆推定)は本登録の対象外であり、WP-004補遺A「連立公表系列による識別上限」として別途整理する(論文化しない)。SPEC-KIJUNの2026年9月分識別テスト(8/17-20頃公示見込み)とは独立である(本研究は公示値のみを使用し、復元規則の当否に依存しない)。 --- ## 凍結時の承認記録(所長) 2026-08-23 に次の全項目を承認のうえ凍結した。 ① 三-4 跨ぎ日のタイブレーク: 主分析=close分類・頑健性=除外 ② 三-5 月帰属: 取引日基準 ③ 二 有意水準 α=0.10・片側の正確並べ替え検定 ④ 二 H2の段階凍結(v2は2026-11末期限) ⑤ 六 円売り対照群はv2拡張 ⑥ 採番: PR-004(PR-003はBOP系に予約)/ 論文の仮題はWP-005 ⑦ 凍結期限: 2026-08-28 19:00 より前に完了(本登録は2026-08-23に凍結) ## 版履歴 - **v1.0(2026-08-23)**: 所長承認のうえ凍結。PR-004として採番。SPEC-KIJUN v0.3への言及を追加(公示値のみ使用のため実質的影響なし)。内容の変更なし - draft-1(2026-08-12): 初稿。基準相場台帳24ヶ月分(公示原本SHA固定)と同時作成。